ライジング! 第85回
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ライジング! 第85回

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松田はEセサミから戻ると、真っ先に小柴と野島の元へ行き、自分がしてしまったことを告白した。小柴は話をじっと聞いてから口を開いた。

「じゃあその夢岡って子が氷上さんをたぶらかして、適当な仕事させて、ローンチ当日に逃げだすような事態にさせたってこと?」

「そうだと思います。すいません」

「いやいや、社外秘を漏らすのはいただけないけど、今の話が全部事実だとして悪いのは氷上さんだな。野島はどう思う?」

「同感です。夢岡って男もいけ好かないですね。まんまと乗せられたタイヨーは脇が甘いですが、そうはいっても友人同士の楽屋話ですからね……」

「そうだな。今後は気を付けるようにってことだけだな。思いつめた表情で来るから何ごとかと思ったぞタイヨー。そんなことより、昼間壊れてたコーヒーメーカーって修理されたのかな。ちょっと見て来る」

小柴はそう言うと廊下へと出て行ってしまった。
強く叱責されることを覚悟していた松田は、拍子抜けしてその場に立ち尽くした。そんな松田の肩を野島が叩く。

「ほら、動け動け。友人に裏切られてショックだろうが、嘘をついたり人を騙したりするヤツってのは一定数いるんだよ。大抵そういうヤツは素直な得難い友人から失っていって、人生が先細りになるんだ。結局損するのは騙した方さ」

野島の言葉に、松田の闘志が燃え始めた。何とかこの難局を乗り切って、夢岡をギャフンと言わせたい。
夜も深まり、問い合わせの電話は少し減って来ていた。松田はまずは公式アカウントで現状の謝罪を載せようと、Twitterを開いた。そして異変に気が付いた。

「あれっ! アカウントが凍結されてる!」

ついさっきまで普通に利用できていた公式のTwitterアカウントが、いつの間にか使用できなくなっていたのだ。これまで積み重ねてきたツイートは消え、画面に映るのは『アカウントが凍結されています』という文字だけだ。
共用で使えるようにはしていたのだが、主にTwitterアカウントの管理をやってくれていたのは、入社一年目の柳だった。松田は急いで柳に確認をした。

「柳くん、公式アカウントが凍結されてるんだけど、変なことしなかったよね!?」

柳はしばらくポカンと口をあけていたのだが、急に何かを思いついたように「はっ!」と言って口を押さえた。

「もしかして……もしかしてなんですけど……」

どこかおっとりとした柳の言葉を、松田は辛抱強く待った。
柳がゆっくりと口を開いた。

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この作品はフィクションです。作中に登場する個人名・団体名等は、すべて架空のものです。
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