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【キャラ作りの極意編】森川ジョージ『はじめの一歩』×二宮裕次『BUNGO』豪腕特別対談Vol.3

「BUNGO」27巻発売記念!特別企画!

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ヤングジャンプの人気野球コミック「BUNGO」の二宮裕次先生と、言わずと知れたボクシング漫画の超名作「はじめの一歩」の森川ジョージ先生の対談第3回!今回は数々の名キャラクターを生み出してきたお二人の「キャラクター作り」の極意に迫る!

森川先生の教えなんですが、そうやって強いキャラクターが出来たら、そいつが生きづらい環境をどんどん作っていく。(二宮)

―両作品には魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、キャラクター作りはどのようにされていますか?

二宮:僕は森川先生に教わった方法でしています。

森川:本当かよ(笑)。

二宮:本当です!『はじめの一歩』は「強いってなんだろう」がテーマだと思うんですが、僕もテーマを決めました。「強い意志を持っている人」を描きたいと思ったので、それを表現できる人は誰かなというところから入って、文吾が生まれた。

これも森川先生の教えなんですが、そうやって強いキャラクターが出来たら、そいつが生きづらい環境をどんどん作っていく。そうすれば勝手にキャラクターが乗り越えていくし、乗り越えられなくてもそれが物語になる。そこを君が丁寧に描けばいいんだよって。それを忠実に守っているつもりです。

森川:『BUNGO』に限らず、ヒットしている漫画の主人公は何をやっても期待感があるんだよね。例えば『サラリーマン金太郎』の主人公なら、野球でもバスケでも何かやってくれそうじゃないですか。そういう期待感がある主人公さえ出来ちゃえば、本当にこっちのもの。

文吾くんも同じで、野球以外のスポーツをやらせたとしてもそれなりに頑張ると思うんですよ。ドラマが作れると思う。ちなみに主人公以外のキャラはどうしてるの? 野球は9人制だから大変でしょう。

二宮:大変ですね。文吾のライバルチームに伴野というキャラがいるんですけど、あいつは「不器用だけど頑張る奴」としか決めてなくて、正直見切り発車してしまいました。

森川:ちょっと上から言っていい? それ、大正解! よく連載前からガチガチに設定決めちゃう人がいるじゃない。でも連載って終わっちゃうかもしれないから(笑)。

自分がサッカー漫画を描いたときは、ワールドカップまで描くつもりだったから。さっき9人制だから大変だねって言ったけど、サッカーって11人制じゃん。「今後11対11を描くのは大変だ!」と思ってたら、1試合で終わった(笑)。

二宮:11人描かずに済んだ(笑)。見切り発車でよかった。

森川:新しいキャラが出てきたときに、主人公とかが何らかのリアクションを起こすじゃない。そのやり取りでキャラを作っていけばいい。実際そうなっているでしょ?

二宮:そうです、はい! …ただ、見切り発車で描き過ぎて、「野球経験1年」という設定だったはずなのに、「6年前からやっていた」と最近描いてしまって…どうしようかなと(笑)。森川先生はミスしても単行本で直さないと聞いているので、僕もそれを踏襲しています。興味のある方は、ぜひ鷹村のベルトに注目してください。

森川:あれはカラーだったな…仕上げまで10日かけてるんだよ(笑)。本誌の担当と単行本の担当が目を通しているのに、誰も気づかないで「ワールドチャンポン」って描いちゃった。「やっちゃった!」と思ったね(笑)。1巻の表紙でもやらかしてるんだよ。

二宮:左右でグローブが違うんですよね。なので僕も森川先生を見習って断じて直しません(笑)。

森川:いやいや直してるよ。アナウンサーが「左」って言ってるのに右を打っているシーンは、文字だけ「右」に修正(笑)。

―キャラクターの名前を決めるのに苦労することはありませんか?

二宮:僕は電車の路線を選んで、そこから取ったりします。

森川:水島新司先生パターンじゃない。「野球狂の詩」のキャラは国分寺から順番だって聞いたよ。

森川:僕は愛知県出身なので、愛知県の線路を使わせてもらっていることが多いです。森川先生はどうされていますか?

森川:僕は友達の名前だよ。漢字は変えてるけど鷹村は友人から。青木も木村も知り合いにいるからね。あとプロレスも好きなので、名前を拝借することも多かったかな。名前ではないけれど、鷹村が熊と戦うシーンは元横綱・北尾のプロレスデビュー戦のポーズを参考にしてるんだよね。誰も気づかねえだろうなと思いながらも、自己満足で描いちゃった(笑)。

二宮:僕はサッカー選手の名前を使うこともあります。『BUNGO』に登場する柿谷が代表格ですかね。

森川:フォームは参考にしているの?

二宮:はい。主人公の文吾は松井裕樹投手、上本牧の下川は、阪神の藤浪晋太郎投手をモデルにしています。

漫画っていつ打ち切りになるかわからないでしょ。まわりの人は「いや、終わんないよ」って言うけど、作家としては怖いよね。(森川)

―お二人が今一番気になるスポーツ選手は誰ですか?

森川:文吾だね。

二宮:うおぉ、なるほど! 僕はキース・ドラゴンですね。

森川:サービストークの応酬はやめようよ(笑)。

二宮:本当にキース・ドラゴンが好きだから今後の展開を楽しみにしているのに、先生は先の展開を教えてくるんですよ(笑)。聞いた通りになっちゃうのかなって余計に気になってしまって。

森川:「こうしたい」みたいな話は二宮にいっぱいしたけど、展開は変わる可能性もあるから。二宮もそうだろうけど、漫画っていつ打ち切りになるかわからないでしょ。まわりの人は「いや、終わんないよ」って言うけど、作家としては怖いよね。

二宮:怖いです。

森川:打ち切り経験のある作家は、いつまでたってもビクビクするよね。人気が下がっちゃったらどうしよう、って。

「神が降りてくるのを待つ」とか言うけど、他力じゃできないことなので、神が降りてくることはないと思ってる。( 森川)

―最終回の構想は決めてありますか?

森川:漫画家って、ラストを決めてから描く人と、ラストを決めないで見切り発車する人と、だいたい2パターンにわかれるよね。

二宮:森川先生は、ラストはもう決まっているとおっしゃっていましたよね。

森川:ある程度連載を進めていくと、おぼろげながら未来が見えてこない? そこに着地するかどうかはわからないけど、きっと行くだろうな、という感覚はある。

インタビューでよく言っているんですけど、漫画家ってタイムマシーンを持っていて、自分の作品の未来に飛んで行って、未来を見られるわけなんですよ。ある程度漫画が長く続くと、それを読者に報告するのが漫画家の作業になる。彼ももうそうなっているはずなんだよね、27巻も描いていたら。どう?

二宮:あります!

森川:うわぁ、かっこいいー! あるんだ!?

二宮:しまった…答えを間違えた(笑)。「ない」はダメなのかと思ったのに!

森川:僕はまだ未熟なので、その境地には達してないです。

二宮:ちょっと待ってください! とんでもない罠(笑)。自分だけ打てるポジションに立ってガシガシ打ってきて(笑)。

森川:そして、その場所からもう離脱したよ。

二宮:これ書けないかもしれませんが、森川先生は「宮田と一歩は戦うのかな?」とずっと考えていらっしゃるので、寝ている間に宮田と一歩の戦うシーンが浮かんできて、パッと起きて「こう戦うんだ!」と思いながらまた寝た、という話をしてくれたんです。「天才、神様じゃん!」と思いました。タイムマシーンを使ったんだ、って。

森川:そういうのってあるだろ?

二宮:…これ、正解どっちですか(笑)?

森川:2回目はダメか(笑)。

二宮:同じ球で空振りはできないですからね。危ない、危ない。

森川:「神が降りてくるのを待つ」とか言うけど、他力じゃできないことなので、神が降りてくることはないと思ってる。ただ、それまでの蓄積でなんとなく物語の世界観ができてくるわけですよ。それは自分だけが知っていて、モヤモヤモヤモヤといつも考えているんです。僕は釣りや麻雀が趣味なんですけど、そのときもモヤモヤと蓄積されているんですよ。それがある日ぱっと出てくる。そういう感覚なんだよね。

第4回に続く!

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