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ライジング! 第86回

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「あの……今日って〝マンガホープ〟のローンチの日……つまり誕生日ってことじゃないですか。だから、あの、ついさっき思いついてですね、今日を誕生日に設定したんです。でもそういえばTwitterが使えるのって十三歳以上だったような……」

つまり、今日が誕生日ということは〝マンガホープ〟アカウントの年齢は0歳。これは明らかな規約違反だ、ということでアカウントがロックされてしまったのだ。

「あっちゃー……」

松田は天を仰いだ。設定した柳に悪気はないが、こんなにときにTwitterの公式アカウントが使えないのはかなりの痛手だ。

「ネットじゃ公式が逃げたって騒がれてるな」

野島がパソコンを操作しながらそう言うと、血の気の多い鎌井が声を張りあげた。

「あ~もう今日は何もかもうまくいかねえなちくしょう! 何でもいいから良い報告はねえのかよ!」

「コーヒーメーカーが直ってたぞ」

片手にコーヒーを持った小柴が編集部に戻って来た。本人は気付いていないが、絶妙なタイミングだったので編集部員たちは思わず吹き出してしまった。イライラしていた鎌井も毒気を抜かれたのか苦笑いしている。

「え……何この空気? 私なにか変なこと言った?」

小柴だけが笑いを共有できずにあたふたしている。その様子がおかしく、全員が『もう少し見ていたい』と思ったせいで、小柴には誰も何の説明もしなかった。

「何だよお前たち! 私だけ除け者にして!」

「すいません、実は報告があって……」

さすがに気の毒に思ったのか、柳が小柴に近寄って行く。

「お、柳くん。私の味方はキミだけだな」

「はい、Twitterの公式アカウントが凍結されました」

「ブホッ!」

小柴は思わずコーヒーを吹き出した。味方だと思っていた柳に、いきなり急所を刺された気分なのだろう。口元をハンカチで拭って目を白黒させている。

「柳くん、急に驚くじゃないか……コーヒーはまだ一口も飲めていないけど、カフェインを摂取する以上に目が覚めたよ」

「それは良かったです」

マイペースな柳には任せていられないと思ったのか、野島が経緯を説明した。

「なるほどそういうことか。しかしTwitterも使えないとなると、ますます問い合わせ電話への対応が重要になって来るな」

小柴が難しい顔でそう言ったとき、誰かが編集部にずかずかと入り込んで来た。

「お~、やっとるやっとる。お前ら、アプリのローンチ日に開発会社が飛んだんやて? ハハハハ!」

「ゲゲッ……赤タンク」

小柴が顔をしかめた。

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この作品はフィクションです。作中に登場する個人名・団体名等は、すべて架空のものです。
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