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【究極の選手像編】森川ジョージ『はじめの一歩』×二宮裕次『BUNGO』豪腕特別対談Vol.4

「BUNGO」27巻発売記念!特別企画!]

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ヤングジャンプの人気野球コミック「BUNGO」の二宮裕次先生と、言わずと知れたボクシング漫画の超名作「はじめの一歩」の森川ジョージ先生の対談第4回!お二人が考える、究極の選手像とは…?そして二宮先生から森川先生に聞いてみたかった質問も!

僕はデビューが31、32歳頃と遅かったので、「28歳で初登板」みたいな選手を見ると感情移入してしまいます。(二宮)

―漫画の登場人物、スポーツ選手にもさまざまなタイプが存在しますが、お二人が好むタイプはありますか? 

森川:二宮さんはどういう野球選手が好み?

二宮:僕はデビューが31、32歳頃と遅かったので、「28歳で初登板」みたいな選手を見ると感情移入してしまいますね。今一番応援しているのは、オリックスの杉本裕太郎選手です。2軍でいいバッティングしているんですけど、1軍ではなかなか結果が出なくて。今年はブレイクしてくれると信じています(※2021年4月現在)。

―自己投影のようなものもあるんでしょうか?

二宮:芸人のオードリーさんも好きで、リトルトゥースとして深夜ラジオをよく聴いているんですけど、オードリーさんも芸人としては遅咲きですよね。スポーツに限らずそういうタイプが好きなのかもしれません。

森川:僕はボクシングに限らず、勇敢さが感じられる人が好きですね。ときには勝負を度外視してでも前に出る、そういったものを見せられると燃えるよね。

―幕ノ内一歩の最大の武器が「勇気」であることにつながりますね。

森川:勇敢さや勇気って、ある意味誰でも持てる武器なんだと思う。昨年末に田中恒成くんと井岡一翔くんの試合があったんだけど、田中くんのあの目も眩むようなスピードに井岡くんはずっと耐えるんですよ。試合中も相手のタイミングを何回も計っていて、最後にバチーンと合わせて見事に倒すというね。一見ディフェンシブに見えるけれど、あの距離で試合をコントロールするっていうのは本当に勇気と勇敢さが必要だったと思う。

―お二人が考える究極の野球選手、究極のボクサーはどんな選手ですか?

二宮:実在の選手なら大谷翔平選手でしょうね。なんでもできる。

文吾は凄い球を投げることには、それほどこだわってない気がします。自分の目一杯をちゃんとぶつけることが大事なので。(二宮)

―文吾が考える究極の投手像とは重なりますか?

二宮:文吾は凄い球を投げることには、それほどこだわってない気がします。自分の目一杯をちゃんとぶつけることが大事なので。ですから怪我をして投げられなくなったり野球選手に戻れなかったりしたとしても、現時点で最高の球を投げられれば笑っちゃえるような人だと思うんです。文吾にとっては、今ある目一杯を出せるのが究極のピッチャー像かもしれません。

森川:二宮くんの話に感動して言葉がなくなっちゃった。こんなかっこいいコメントのあとに、僕が発言していいのかな。

二宮:新たな罠ですか(笑)?

森川:気づかれちゃった(笑)。でも本当に、いいこと言うね。僕にとっての究極は井上尚弥ですよ。ボクシングを50年ぐらいずっと観てきているけど、あんな選手いないですよ。海外でも見たことない。それぐらい完成度が高いボクサーです。たとえ次の試合で負けたとしても、その評価は変わらないです。本当に優秀なボクサーは負けても商品価値が下がらないんです。期待感から次の試合が観たくなるので。

―先生から見て、井上尚弥選手の一番優れているところはどこですか?

森川:気持ちの強さです。これは間違いないですよ。どんなに技術を持っていてもあんなに踏み込めないですもん。世界には井上くんと似たようなパンチ力、スピードを持っている選手もいると思いますけど、絶対にあんな感じには踏み込めない。あれは凄い!

井上尚弥とノニト・ドネアの試合は埼玉スーパーアリーナで観ていて、眼窩底を怪我した瞬間もわかったんですよね。うちのボクサーも眼窩底骨折をしたことがあって、それがどんなにキツイかはセコンド経験もあるのでわかるんだけど、井上くんは、その素振りすら見せなかったですからね。アクシデントがあるとちょっとは動揺するものですけど、そのアクシデントすら楽しんでいるように見える。

僕は「人気がない」って言葉が大っ嫌いなんで。自分が読みたいものなんてどうでもいいんです。読者が読みたいものじゃないと意味がない。( 森川)

二宮:…せっかくなので、僕からも質問していいですか?

今は珍しくなくなったスピンオフ的な展開が『はじめの一歩』の本編でありますが、編集さんに「やめたほうがいいよ」など言われませんでしたか?

森川:担当編集はやっぱり「危険だよね」と言ってたよ。でも、試しに描いたらすげえ人気があったから「よし!」と思って(笑)。

「戦後編」は、ピストン堀口の話とかを調べるうちに興味が出てきて。1日4試合やって4試合目でやっと負けたとか、もうめちゃくちゃな時代でね。そんな日本ボクシング黎明期、拳闘と呼ばれていた時代のエピソードを描きたいなと思いながら、少しずつ準備は進めてたんだよね。で、猫田と浜団吉と鴨川が3人そろった瞬間に「よし、いける!」と思って。

二宮:「やろう!」という強い思いじゃなくて、「やれるかな」と準備していったら整ったんですね。

森川:そう。でも反応が悪かったらすぐやめようとも思ってた。僕は「人気がない」って言葉が大っ嫌いなんで。自分が読みたいものなんてどうでもいいんです。読者が読みたいものじゃないと意味がない。でもそれって、わかんないじゃないですか。「読者が読みたいものって何だろう?」って恐る恐る出してみて、人気があったら「よし!」って。そんな感じだよね(笑)。

二宮:『BUNGO』では、野田くんが世界編に行くんですけど森川先生から話を聞いていたので、もし人気がなかったらスッとやめようと思っていました。でもアンケートの結果を聞いたら「変わってないですよ」と言われて「じゃあいきます!」と。気づいたら2巻分くらいやってしまいました(笑)。

―両作品とも魅力的なキャラクターが多いので、サイドストーリーを楽しみにしている方も多いと思います。

森川:でもSNSでは「主人公引退させるな」とか「いつ試合するんだ」とか「脇道逸れ過ぎだ」とか、そんなんばっかだよ。

二宮:無茶苦茶な言われよう(笑)。確かに某掲示板の最盛期はひどかったかもしれませんね。

森川:なんで他人の漫画のスレ見てるんだよ(笑)。ちなみにまだ質問あるの?僕は『BUNGO』に関して質問用意してないよ(笑)。

二宮:いいですいいです、個人的にうかがいたいだけですから。質問はあともう少しあります(笑)!

『BUNGO』は現在27巻まで出ているんですが、『はじめの一歩』にあてはめると、森川先生が最終巻でもいいくらいの気持ちで描いたとおっしゃっていた、千堂と一歩の2度目の試合を迎える少し前ぐらいになるんです。

森川先生が26、27巻あたりを描いていた当時は、どういった気持ちだったんでしょうか?

森川:とりあえず日本タイトルに行き着くのが一区切りだと思ってた。最終回って、基本的には自分で決められないじゃないですか。人気のある漫画は編集部が引き伸ばすとか言われるけど、そんなことはほとんどない。読者の需要があるから描くんですよ。だから自分にとっての一区切りまでは倒れてもいいから、バーッと描いてみようと。

ただ、当時は自分のベストオブベストだと思ってたんだけど、あとから読むと「なにがベストだ。ヘッタクソだな」って思っちゃう(笑)。描いたそばから思わない?

二宮:思います!見られない、恥ずかしくなる。

森川:凄くいっぱい描き込んだつもりがね、雑誌で読むと「なにこの白い画面!?」ってなるし。なんだろうね、あれね。

二宮:森川先生でもそうだって聞いて、僕は安心しました。よかった。

森川:本当にそう。で、質問なんだっけ?

よく漫画家にも「燃え尽き症候群」とか言う人がいるけどね。読者が楽しめる、面白いと思ってくれるものを生産すればいいだけだよ。(森川)

二宮:『BUNGO』も30巻あたりを全国大会の決勝と思って描いていたので、当時の森川先生の意気込みと、自身が集大成だと思って描き終えたあとはどういう心境だったかをうかがいたくて。

森川:関係ないよ。よく漫画家にも「燃え尽き症候群」とか言う人がいるけどね。読者が楽しめる、面白いと思ってくれるものを生産すればいいだけだよ。だって逆があるじゃない。僕らは「要らない」って言われたら勝手に終わらせられちゃうんだから(笑)。

二宮:よく覚えております(笑)。

森川:どっちにしろ打ち切り時には、僕らの人格なんて完全に否定されちゃうわけだから。読者に尽くすことだけを考えればOK。絶対に読者ありきだもんね。…なにこれ、この偉そうな感じ。やめてくれる? こういう質問(笑)。まぁ僕もちばさんに会ったときは、気になることは片っ端から全部聞くんだけどね(笑)。

第5回に続く!

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