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ライジング! 第58回

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宴もたけなわ。禁酒中の松田も「勧められた酒はノーカン」のルールのもとでワインを何杯も飲んでいた。空のグラスを持っていると、ボーイさんが「いかがですか?」とおかわりを勧めてくれるからだ。これは松田の解釈では「勧められた酒」の範疇に入る。だから飲んでもノーカンなのだ。ルールがガバガバすぎるが、松田自身がルールブックなのだから仕方がない。
ワイン片手に次の一杯を勧めてくれる人を待っていると、野島が近づいてきた。

「タイヨー、コシさんが呼んでるぞ。ステージの方に来いってさ」

「ステージに? 何ですかね」

「〝マンガホープ〟の知名度アップ大作戦とやらを決行するんじゃないか」

「ああ! そうだった」

松田が野島と共にステージ脇に行くと、小柴が既にスタンバイしていた。

「お、来た来た。じゃあちょっくらステージに上がろう」

だいぶ飲んだのだろう。どこか危なっかしい足取りで小柴がステージに上がって、マイクの前に立った。野島と松田も後に続く。小柴がマイクのスイッチをオンにすると、「ブワァァァン!」と大きくハウリングした。それが功を奏したのか、全員の注目がステージに集まった。

「え~、みなさん、しばしお時間をください。まずはクイズですが、今このステージに立っている三人の共通点は何でしょうか?」

会場中から「イケメン!」「天才!」「部外者!」「ダンディ!」「同じ女を愛した男!」「ジ・アルフィー!」などと勝手な回答が飛んでくる。まるでフリー回答の大喜利大会のようだ。

「え~、イケメンを筆頭にいくつか正解が出ましたが、最大の共通点が出ていません。我々は世界初の青年漫画誌アプリ〝マンガホープ〟の開発に携わっている三人です!」

そう言って小柴は、この先漫画をたくさん読んでもらうために、どんどん新しいことをやっていくつもりだという決意と、そんな中での〝マンガホープ〟の役割について端的に説明した。

「そんな〝マンガホープ〟が今一番欲しいものがあります」

ここで一拍子を置き、小柴は会場中の人々の顔を見回した。いつの間にか私語をしている人はいなくなり、全ての注目はステージ上に注がれている。そんな中で小柴が口を開いた。

「それは、知名度です! 今日は是非作家の皆さんに知名度をお借りしたく、壇上に上がらせていただきました!」

小柴の言葉に、会場がザワついた。

「お! 今どなたかが言ってくださいましたね! 知名度ってどうやって貸すんだ……と。簡単です。御村(みむら)先生、ちょっと壇上に上がって来ていただけますか?」

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この作品はフィクションです。作中に登場する個人名・団体名等は、すべて架空のものです。
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