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ライジング! 第76回

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「昨日、一つ気になることがあったんですけど……」

「何だ?」

「実はサーバーチェックしていたときに、ローンチ前なのにテストアカウントから侵入して既にアプリを使用している怪しいヤツを見つけたんですよ。もしかして、一般のお客さんが触ってるんじゃないかなって疑惑が持ち上がって。だとしたら怖いじゃないですか。だから使用者のアカウントちょっと止めよう……って、BANしたんですよ。……野島さん、昨日テストアカウントからアプリ使いました?」

「気になることがあったからちょっとだけ使った」

そう言ってから野島は、この話の結末を悟ったのか、悲しそうな表情を見せた。

「じゃあたぶん、野島さんのアカウント、BANされちゃってますね」

「なんてこった……」

がっくり肩を落とす野島を尻目に、小柴は編集部員たちに声をかけた。

「みんな聞いてくれ! 青年誌初の漫画アプリ〝マンガホープ〟は無事ローンチされた。ちゃんと動くことも確認できた」

フロア全体の視線が集まる。

「そしてここにいる野島は、そんな〝マンガホープ〟におけるBAN第一号になりました! ハハハハハハ!」

「おお!」

どよめきと笑い声、そして何故か拍手も巻き起こった。

「じゃあそんな野島から一言」

小柴に振られ、野島が「コホン」と一つ咳払いをした。

「BAN機能は正常に働くみたいなので、みなさんも規約をしっかり守って使ってください。あと、今笑ったヤツあとで覚えとけよ」

野島の脅しを受け、編集部は更なる笑いに包まれたのだった。


デジタル開発部に戻った松田は、ネットでの〝マンガホープ〟の評判を見てみた。ローンチを待ちわびていた人が多いのか、肯定的な意見が並んでいる。滑り出しは上々のようだ。
少し気になる意見が出始めたのは夕方ごろだった。アプリがなかなか動かないという報告が幾つか上がっていたのだ。驚いて自分のスマホで〝マンガホープ〟を操作すると、サクサク動く。念のため、という感じで松田は野島に内線電話をかけた。

「もしもし野島さんですか? なんかネット見てたらアプリが動かないって人が何人かいるみたいで、ちょっと気になるんですけど」

『ああ。コシさんともちょうどその話をしてたところだ。実は社内にも何人かそういう人がいるんだよ』

「そうなんですか!?」

『ああ。そして不思議なことに、動かないって言ってる人には共通点があるんだ』

「共通点……何ですか?」

松田が質問すると、野島は一つ咳ばらいをしてから声を落として言った。

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この作品はフィクションです。作中に登場する個人名・団体名等は、すべて架空のものです。
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