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ライジング! 第89回

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「いえいえ! とんでもない! こちらも起こり得るトラブルを予見できなかったと反省していた次第で……もしかして〝漫to漫〟を復活させるとかですか? だったら全力でお手伝いさせていただきますよ」

大殿は松田に怒るどころか、自分でも反省をしていたのだ。しかも、既にサービスが終了した〝漫to漫〟を復活させることまで考えてくれていた。松田は自分がいかに恵まれていたかを思い知った。

「大殿さん……どうもありがとうございます」

「とんでもない。……で、復活はいつを予定されていますか?」

「ああ、ちがうんですよ! その話じゃなくて、今日ローンチした漫画アプリに関するお話なんですけど……」

「あらら、すいません。先走ってしまってお恥ずかしい……ん? 今日ローンチした漫画アプリって〝マンガホープ〟のことですか?」

大殿は〝マンガホープ〟のことを知っていたようだ。これなら話は早いと思い、松田は急いで本題に入った。

「実はアプリが動かないといった報告がたくさん上がってまして」

「そういえば、うちのスタッフもそんなことを言っていたような。原因は分かっているんですか?」

「いえ、原因を究明しようにも、開発会社のプログラマーが全員飛んでしまってどうにもできないんですよ」

「ええっ! 開発会社が!? ローンチ日ですよね!?」

「そうなんですよ……結構珍しい事態になっちゃってまして」

「珍しいどころじゃないですよ! 開発どこですか?」

「Eセサミなんですけど」

「本当ですか? しっかりした会社ってイメージですけどね……」

大殿は信じられないといった様子だった。

「それで、アプリがちゃんと動くように作業をしてくれるプログラマーを探しているんですけど、今からの作業となるとなかなか見つからずで……その時に大殿さんのことを思い出しまして、ぶしつけなお願いとは思いつつ、お手伝いして頂けないかと……」

松田が恐る恐るお願いすると、大殿は快活な声で返事をした。

「分かりました」

「えっ! いいんですか!?」

あまりにもあっさりOKをされてしまい、松田は拍子抜けしてしまった。

「松田さんのお願いならやるしかないでしょう。今帰宅中なんですけど、会社に戻って作業に入ります。うちの社員も動けるものは動員しますよ。あと、知り合いにも何人か当たってみますね」

「あ、ありがとうございます! なんとお礼を言っていいか……」

「お礼だなんて。せっかくできたご縁じゃないですか」

松田は重ねてお礼を言うと電話を切り、プログラマーを見つけたことを編集部のみんなに報告した。

「よくやったタイヨー!」

珍しく声を上ずらせた野島の声が、妙に印象に残る松田だった。

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この作品はフィクションです。作中に登場する個人名・団体名等は、すべて架空のものです。
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