ライジング! 第68回
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ライジング! 第68回

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「厄除けって、どこですればいいんですか?」

小柴の質問に夕子さんは少し逡巡してから、ある神社の名前を口にした。

「今週の土曜日に行ってきなさい。占いでは、その日に行くと良いと出てるわ。行って悪い運命を変えてくるのよ」

「でもその日は妻と出かける予定が……」

「占いではキャンセルになると出てるわ」

「その五枚のカードに、妻と出かける予定がキャンセルになる……って占い結果が出てるんですか?」

「そうね。あと、迷える子羊も一緒に連れていってあげなさい」

「子羊? それも占いに――」

「出てるわ。連れていけば、その子羊の悪い運命も変わるわ」

夕子さんの断定的な物言いに、小柴はだんだん疑わしい気持ちが芽生えてきた。そもそも迷える子羊とは何なのだろうか。

「なんかよく分からないんですが、運命って厄除けしただけで変えられるんですか?」

「〝運命ではない。未来は自分の手で切り拓け〟。私の師匠の言葉よ」

「『ターミネーター』でジョン・コナーが同じことを言ってた気がしますが……」

いよいよ胡散臭くなってきたなと感じた小柴は、気分をリセットするためにトイレに立った。するとカウンターにいた楓(かえで)ママが声をかけてきた。

「あらお帰り?」

その言葉を背中で聞いた小柴は二、三歩進んでからゆっくり振り返った。

「アイルビーバック」

「どうしたの急に?」

「あ、あの……さっきターミネーターのこと思い出したから、その、ちょっと影響されちゃって……」

しどろもどろになりながら、タイムマシンがあったら五分前に戻りたいなと思う小柴だった。


駅の改札を出た小柴は、地図アプリで目的地までの道を再確認した。駅からすぐなので迷うことは無さそうだ。

「しかし本当に来ることになるとは……」

小柴はポツリと呟いた。夕子さんの占いの通り、奥さんと出かける予定が急遽キャンセルになったのだ。奥さんが実家に行く用事ができてしまったのだ。
時間がぽっかりあいた小柴は、夕子さんに言われた厄除けのことを思い出し、言われた通りに厄除けに行くことにしたのだ。ただ、小柴としては占いが当たったとは思っていたなかった。予定がキャンセルになることなど、別に珍しいことではない。こんなことはただの偶然だ。
そう思いながら歩いていると、目の前に突然、周囲をキョロキョロ見回す怪しげな人物が現れた。思わずぶつかりそうになった小柴は、反射的に脇に避けた。

「おっと……」

「あ、すいません! ……あれ? コシさん!」

自分の名を呼ぶその人物を見た小柴は思わず声をあげた。

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この作品はフィクションです。作中に登場する個人名・団体名等は、すべて架空のものです。
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