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ライジング! 第75回

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「野島さんどうしたんですか? 何か探しものですか?」

「いた! お前を探してたんだよタイヨー。もうすぐだぞ」

時計を見ると、十二時一分前になっていた。

「いつの間に! すぐ行きます!」

松田は慌てて編集部へと戻った。先ほどまでは疎らだった編集部員の姿も、かなりの数がそろっていた。彼らもデバック作業を山ほど手伝っていたので、ローンチの瞬間は一緒に迎えようとしてくれたのだろう。

「カウントダウン行くぞ~!」

野島が声を張りあげる。小柴が腕時計を見ながら「ご唱和ください!」と言ってから「十!」と大声を出すと、そこからは全員でのカウントダウンになった。
『九! 八! 七! 六! 五!』
松田もみんなと一緒に声を張りあげる。電話中の社員がうるさそうに受話器の反対側の耳を押さえているのが見えたが、今ばかりは許して欲しい。
『四! 三! 二! 一! 〇!』
その瞬間、全員が歓声をあげて拍手をし始めた。指笛を鳴らすものもいる。
一方で松田や小柴、野島は急いでアプリをダウンロードした。ちゃんと動くのかどうかを早く確認したかったのだ。
何度も見た画面だ。どこをどう触ればどの画面が出てくるかなど、完璧に頭に入っている。飽きるほどに見たその画面だが、実際に製品版として動くのを見るとどこか新鮮で、不思議と感動が押し寄せてくる。

「よし、ちゃんと動く!」

「そうだな。サーバーも調子いいんだろうな。全然重くないしサクサク動く」

松田と小柴が喜んでいる一方で、野島は難しい顔でタブレットを触っていた。そして大きくウーンと唸り、不穏な空気を漂わせながら二人の顔に耳を寄せた。

「あの……」

ただごとではない空気を感じた松田と小柴は、自然と顔を寄せ合った。野島が小声でささやくように言う。

「オレのは何かおかしいです。全く作動しない……というか、〝マンガホープ〟自体に入れなくなっています。これは重大な不具合の可能性が……」

「ええ!?」

驚いた松田は野島のタブレットの画面を見た。確かにエラー画面が出ていて、どこをどう触ろうがウンともスンともいわない。

「確かに変ですね」

「どうなってるんだ……」

小柴も野島のタブレットをいじりながら思案顔をしていたのだが、松田はふとあることを思い出した。

「そういえば……」

松田が恐る恐る語り出した。

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この作品はフィクションです。作中に登場する個人名・団体名等は、すべて架空のものです。
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