連載小説

107

ライジング! 第93回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ 河原崎や大殿の尽力もあり、朝の五時になるとアプリは正常に動き出していた。 「これで解決ですね!」 笑顔を見せる松田を見て、河原崎はクールに答えた。 「いや、あくまで応急処置が終わっただけだよ。ずっと血は流れてる状態だね。輸血してるから死にはし…

ライジング! 第92回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ エスプレッソをお供に、河原崎が作業を始めていた。大殿と彼の会社のメンバーも遠隔で作業に加わり、〝マンガホープ〟復旧作戦がついに動き出した。 編集部員たちは、あまりプレッシャーになってもいけないということで、少し離れた場所から様子をうかがっている…

ライジング! 第91回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ 「分かったぞ! ジャバウォックだ! あなたジャバウォックでしょ!」 「ど、どうしたんですか野島さん」 松田の困惑をよそに、野島は興奮した様子で河原崎を見つめている。一方の河原崎は、表情を崩さずに頭をポリポリと掻いた。 「そんなあだ名で呼ばれて…

ライジング! 第90回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ それにしてもクレーム電話は鳴り止まない。対応している編集部員たちがどんどん疲弊していくのが目に見えてわかる。ネット上の評判も相変わらず悪く、起動画面から全く動かない〝マンガホープ〟は「壁紙アプリ」と揶揄され始めていた。 頼りの大殿はいつ作業を開…

ライジング! 第89回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ 「いえいえ! とんでもない! こちらも起こり得るトラブルを予見できなかったと反省していた次第で……もしかして〝漫to漫〟を復活させるとかですか? だったら全力でお手伝いさせていただきますよ」 大殿は松田に怒るどころか、自分でも反省をしていたの…

ライジング! 第88回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ 赤井が帰り、編集部には一種の弛緩したような空気が流れていた。すると、それをきっかけのようにしてまたクレーム電話がかかり始めた。匿名掲示板で誰かが「電話したらひどい対応をされた」と書き込み、周りを煽動していたのだ。やりとりもテキストでアップされ…

ライジング! 第87回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ 赤井稀彦(あかい まれひこ)。彼は照鋭社の役員で、戦車のようにパワフルに働くことから「タンクさん」の愛称で呼ばれている。ヒット漫画も数多く手がけ、漫画がエンタメのど真ん中にいた時代を最前線で駆け抜けたレジェンド編集の一人だ。 そんな赤井の最大の…

ライジング! 第86回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ 「あの……今日って〝マンガホープ〟のローンチの日……つまり誕生日ってことじゃないですか。だから、あの、ついさっき思いついてですね、今日を誕生日に設定したんです。でもそういえばTwitterが使えるのって十三歳以上だったような……」 つまり、今…

ライジング! 第85回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ 松田はEセサミから戻ると、真っ先に小柴と野島の元へ行き、自分がしてしまったことを告白した。小柴は話をじっと聞いてから口を開いた。 「じゃあその夢岡って子が氷上さんをたぶらかして、適当な仕事させて、ローンチ当日に逃げだすような事態にさせたってこ…

ライジング! 第84回

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ 「もしもし」 『あ~ザブちゃん? 今日って遅くなるんだっけ?』 電話の相手は妻の亜沙美(あさみ)だった。彼女は小柴の下の名前である健三郎から一部を取り、小柴のことをザブちゃんと呼んでいた。 「今日は遅くなるよ。言ってなかったっけ?」 『聞いた…